名画誕生(ウソ)
さて。
この絵の作者は誰でしょう?
つまり、少なくとも私ではありません。
そもそも、私にはこういう豪快なタッチの絵は描けません。
正解は・・・西経一神父様!(笑)
実はここ数日、彼の部屋の荷物整理を手伝わされてまして ^^;
その作業過程でこの絵が出てきたので、懐かしく写真を撮らせてもらった次第デス。
さて。
それでは、この絵が描かれた経緯をお話させていただきます m(_ _)m
♢
西神父様の学校通信『西の風』を書籍化した
『君たちへ』の表紙絵と挿絵を描かせていただいたのが2006年のこと。
リンク先の記事にも書いてますけど
そこそこ多忙な仕事の合間、私が会社で挿絵を描いているときに
西神父様は私の横から、何やらやかましく(笑汗)私の絵に注文をつけたりして遊んでたんですね。
ひとしきり騒がしく私の邪魔した後 ^^;
彼はやにわに私の絵筆を取って言ったんです。
「オレも何か描いてみたくなっちゃった」
一般的に
人は絵を描く時、無口になるものです。
・・・そうなんです!
彼を黙らせる、恰好のチャンスじゃないですか!
しかも、彼自身がそれを望んでいる。
“ しめしめ ” デス ♪
手元にあった、F6サイズ(410×318)のキャンバスボードを手渡し
「絵具も筆も自由に使ってよろしい!」と許可したのは、言うまでもありません。
・・・しかし。
私の目論見は、もろくも崩れ去ったのでした。
筆を動かす西神父、喋る喋る・・・(><)
「楽しいなァ!」
「わくわくするなぁ、なァモリオ(=私)?」
「自由に描いて良いんだろ?」
「なァ、下絵って描かなきゃいかんのか?」
「絵具って、色によって値段が違うのか?」
「この色は高いのか?」
・・・だまらっしゃい!
とにかく喋り倒しながら ^^;
それでも、その手はすいすいと動かすんですね。
一切の下書きはナシ。
いきなり黒をパレットに出して
真っ白なキャンバスにわけのわからん輪郭を描き始めたかと思うと
躊躇することなく赤を出して、ペタペタと色をのせていくんですよ。
「情熱の赤い花だァ!どうだモリオ」
・・・彼らしいッちゃあ彼らしい(笑)
「葉っぱは緑だよなァ~」
「背景は・・・オレは黄色の気分だァ!」
・・・描き始めて
多分30分もかからなかったんじゃないでしょうか。
「出来たァ~!
どうだモリオ、良いと思わんか!」
・・・ということで
出来あがったのが冒頭の絵です。
「こりゃ~最高傑作だぞォ!
なァ、そう思わんか?
オレはたいそう気に入った!」
♢
楽しそうに絵筆を走らせながら
あの時、西神父様はこんな話をしてくれました。
「オレが学生の頃
絵を描く授業のときに、美術の先生に怒られたことがあったんだ。
あのときも、この絵みたいに黒で輪郭を描いたんだよ。
オレはこれが良いと思ったからそうしたんだ。
でもその先生は
『何ということを・・・』みたいに、オレの描いた輪郭を否定しやがった。
・・・良いじゃないか、なぁ?
オレがイイと思ったんだから」
元・美術教師の立場で申しますと
「絵の描き方」について、一応まずは一般的な手順を教えるものです。
たとえばデッサン。
対象物を出来るだけ正確に描くための手順というのは、たしかにあるものです。
しかし
最終的に「こうしなければならない」といったルールがあるわけでもありません。
表現は自由であり
そのプロセスはいくつもあるのであって
作者本人が描きたいように描けば、それでいい。
♢
さて。
あらためて、画家:西経一氏の作品を観てみると・・・
何とも彼らしい、ダイナミックなタッチです ♪
筆跡がのびのびとしていて
殊更に(上手く描こう)などというあざとさが微塵も感じられない。
「・・・オマエ、何言ってんの?
これでもオレは上手に描こうとしたぞ?」
し、失礼しましたッ・・・m(_ _)m
本人はこの絵をいたく気に入っていらっしゃるようでして
多分手放されることはないでしょう ^^;
でも「欲しい」と感じた方がいらっしゃったことは
どこかの機会でご本人にお伝えしますね。
集中力を養うため、最近スケッチブックを購入し時折描いてます。
集中し過ぎて、あっという間に1.2時間経ってしまうんですよ。
私にはお喋りをしながら描くということはできません。
きっとお喋りしてたら思うように描けなくなっちゃいます。
喋りながら描ける西神父様って凄いですよ。
左脳は言語脳といわれ、右脳はイメージ脳といわれるじゃないですか。
両方上手く使っていらっしゃる。さすがです。
で、これはチューリップかしら?
逆に私は、絵筆を手にする機会がめっきり減ってしまいました ^^;
毎年(今年こそは)と思うのですが、果たせておりません。
ただ今年の場合、あるご依頼にお応えすべく、まさにこれから絵筆を手にしようとしているところ、デス。