改葬に関する相談
今日はほぼ一日
少々イレギュラーというか、珍しい案件のご相談に関する調査をしておりました。
相談をいただいたのは
とあるカトリック修道会の方。
「戦前の話なんですけれど
1930年代に名古屋で亡くなったカトリック司祭の亡骸を改葬したいと思うのですが」
『改葬(かいそう)』
聞き慣れない言葉ですよね。
改葬とは
「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」
(墓地、埋葬等に関する法律・第二条の3)
・・・であります。
簡単に申しますなら「遺骨(或いはご遺体)のお引っ越し」であります。
Aのお墓のご遺体やご遺骨をBのお墓或いは納骨堂に “ お引っ越し ” するわけです。
この「改葬」を行う際の手順は概ね以下の通りです。
(但しその手順等は自治体によって異なる場合があります)
① 移転先の墓地管理者から(遺骨或いはご遺体を)受入の承諾を得て、それを証明するための書類(受入証明書)を発行してもらう。
② 現在埋葬されている墳墓(墓地)の管理者から「○年○月○日に亡くなられた○○さんのご遺骨(ご遺体)は間違いなく当方で埋葬していますよ」という証明となる、埋葬証明書を発行してもらう。
③ 現在埋葬されている市区町村役場に上記書類①と②を提出して、改葬許可証の発行申請を行う。
④ 現在埋葬されているご遺骨(或いはご遺体)を墳墓から出す際、その墓地管理者に改葬許可証を提示する。
⑤ 移転先の墳墓に埋葬する際は、この改葬許可証を提出する。
(名古屋市の場合はコチラをご覧ください)
この手順はこれでいいんです。
問題はもっと他のところにあったんですね・・・
「実はご遺体のまま土葬されているのか、火葬された遺骨が埋葬されているのかが判明しないんです」
・・・おっと (*_*;
そうきましたか・・・
こういう場合に問い合わせる先は
① 現在の墓地管理者
② 火葬したと思われる火葬場
③ 死亡届を提出したと思しき市町村役場
・・・となります。
で、分かる範囲で問い合わせたのですが・・・
結論的に申しますと「不明」という回答。
(えぇ~ッ!?)と驚かれるかもしれませんが
実はこういうことって、間々あるんですよね。
何といっても、戦前(今から約80年前)のことです。
証明書類や記録簿などの一切が紛失していることは十分に考えられるわけです。
これは仕方のないこと。
さて、どうしたものか。
「少なくともうちの会(修道会)としては
間違いなく○○司祭が○年○月○日に亡くなられたことは記録にあって、この神父様のお墓であることも記録にあるんです。
ただ、火葬された遺骨なのか、ご遺体を土葬した状態なのかがどうしても判明しないんです」
ただひとつ。
確実であるという保証はないのですが
当該墓地のサイズを考えた場合、そのサイズでの土葬はおそらく困難なのではないか、ということ。
現在一般的に使用されている寝棺はもちろんのこと
仮に昔使用されていた座棺であったとしても、当該墓地のサイズでは考えられにくいだろう、ということです。
・・・おそらく火葬されたご遺骨だと、私も思いますね。
万が一ご遺体のまま埋葬されていた場合は
あらためてそのご遺体を火葬されたうえで改葬されればいいわけです。
(この場合も火葬場に改葬許可証を提出することで火葬受付が受理されます)
・・・現時点で最終的な結論に至ったわけではありません。
しかし、特に約一世紀も昔のお墓ともなると
墓碑の劣化も激しいでしょうし、今後の管理のことも考えると「改葬」という選択が現実的なのかもしれませんね・・・