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D’s(ディーズ)さんのぶろぐ

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宗教者への信頼

 
宗教者の大切なお仕事の一つに
「信徒のお葬式を執り行う」というのがあると思います。
どの宗教においても、その宗教を信じる人々のお葬式を行うことは
その宗教が唱えるところの「宗教観」「死生観」或いは「(魂の)救済」を、葬送の儀式(典礼)を通して訴えかけるものであり
また布教(伝道・宣教)の場としても重要な場面と捉えられるべきだと思います。

            ♢

かなり昔のことですが
私が以前在籍していた葬儀社時代に、とある新興宗教の方のお葬式を担当することになりました。
そこはどうやら、まだ歴史の浅い宗教だったようで
お葬式の典礼がしっかりと確立されていなかったんですね。
お葬式のご依頼が入り、ご遺族様が「私たちは〇〇という宗教なのでその宗教でお葬式を挙げたい」と仰ったので
その宗教の典礼を司る方に連絡をとり、ご相談させていただいたんです。

すると・・・
その方からは
「他の宗教の方々はどのようなすすめ方をされていますか」
と尋ねられたんですね、私が。

正直
(・・・おぉ?どういうこっちゃ?)
と思いましたよ。

「私どもはそちらの宗教葬儀がはじめてですので
こちらこそいろいろとお教えいただきながら進めさせていただきたいと考えますが」

結局その典礼担当者は
その宗教の本部(本山)にお伺いをたてられて、その指示によってお葬式が執り行われました。

・・・正直
ちょっとドタバタとした印象のお葬式、ではありました・・・

            ♢

先に挙げたのは少々極端な一例なのですが・・・

宗教者というのは
その宗教における、いわば「現場指導者」であり、その宗教の「写し鏡」であります。
そして宗教者にとって信徒のお葬式は
「現場指導者」としての資質がもっとも問われる場面でもあると思うんですね。

たとえば
人の死には、いろいろなケースがあります。

長年にわたる闘病生活の末の死もあれば、何の前触れもない突然死もあります。
若くして亡くなられた方。
この世に生を受けて間もなく亡くなられた方。
孤独死。
自ら命を絶ってしまった方。

一口に「お葬式」と申しましても
その進め方には、それぞれのケースを踏まえる必要があります。
(もちろんこれは葬儀屋さんにも当てはまることですが)
たとえ典礼自体は変わらずとも、そこに携わるうえでの配慮が肝要であるということです。


では
私たちが宗教者に求めるものって、一体何でしょう。

それは宗教者に対する「安心感」「信頼感」だと思います。
もちろんそれぞれの宗教が掲げる「死生観」や「魂の救済」も大切なのでしょうが
もっと直接的な部分で、ご遺族からの信頼を勝ち得ることこそが、宗教者に求められるものだと思うんです。

多分それは、その宗教が掲げる理想や理屈以上に
いま目の前にいる「現場指導者」としての宗教者に対する信頼、なのかと。


どんな宗教を信仰しようと
大切な方を亡くされたご家族や当事者の悲しみに変わりはないはずです。

「故人の魂は仏の導きにより浄土へ旅立たれました」
「すでに彼の魂は天国にあります」

それはいい。
それは分かったから。
それでも今、私はどうしようもなく悲しいんだ。

・・・そう考える方は決して少なくないはず。

そんなとき
信頼できる宗教者がそばにいてくれたら・・・


私たち葬儀屋さんが
「あの人(=宗教者)は良い人だ」
と言うとき、その判断基準は
「遺族に寄り添える人」「信徒から信頼されている人」です(少なくとも私は)。
そういった方が司式者を務められるお葬式って
まず間違いなく、良いお葬式になるんですよね・・・







by dscorp-japan | 2014-05-28 16:03 | 葬儀 | Comments(0)
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これでも葬儀屋さんのブログなのだ


by dysmas
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