映画 『 かぞくのくに 』
ずっと観たかった映画。
DVD化を心待ちにしていた映画。
とりあえずレンタルで借りて観ましたが・・・多分、DVD買います。
そしてまた観ます。
『第86回キネマ旬報ベスト・テン』において
本作は日本映画の第一位を獲得。
そして主演の安藤サクラさん(大好き!)が本作の演技で主演女優賞を獲得。
喫茶店を営む、ごく普通の親子。
そこへ男性が駆け込んできて言います。
「ソンホ(井浦新さん)が帰ってくる!」
歓喜する親子。
とりわけ喜ぶのがソンホの妹、リエ(安藤サクラさん)。
この家族は在日朝鮮人でした。
北朝鮮組織の幹部であった父親(津嘉山正種さん)は
息子であるソンホを帰国事業に参加させたため、25年もの間会えずにいました。
ところがソンホが悪性の脳腫瘍に冒されたことを受け、三ヶ月間限定で治療の為日本への(非公式)滞在が本国より許可されたのでした。
しかしソンホには常に監視役のヤン同志(ヤン・イクジュンさん)が張り付きます。
監視の目を気にしつつも、兄との再会を喜ぶリエ、そして両親。
一方、腫瘍治療の為の検査を受けると「三ヶ月での完全治癒は不可能」との判断で治療を断られます。
「滞在期間を延ばせないか」
「三ヶ月で治療を完了してくれる病院はないか」
家族は何とかしてソンホの治療法を模索しますが
その矢先、本国より突然の帰国命令が下り・・・
・・・毎度の下手くそなあらすじ説明でごめんなさい m(_ _)m
詳しくは映画公式サイトをご覧ください。
本作は
監督であるヤン・ヨンヒさんの実体験に基づくフィクション、ということになっています。
しかし実際のところは殆ど実話と言っていいでしょう。
現実に監督の三名のお兄様は帰国事業で北朝鮮へ渡られていらっしゃるとのことですし
お兄様のおひとりは難病治療の為に一時的に来日されたようです。
また本作内で描かれる
兄ソンホから妹リエへの “ ある誘い ” のくだりも、監督の実体験エピソードのようです。
・・・とにかく本作は “ そういう映画 ” 。
本作を観る前から、私はかなり期待しておりました。
そして鑑賞してみて
まったく期待を裏切らないというか、個人的には期待以上の映画だと思いました。
映画の題材自体ももちろん興味深いものでしたが
映画全体に流れる息苦しいほどの哀しみや怒り、そして諦念。
登場人物たちの思いが
言葉ではなく表情や視線によって語られます。
つまり俳優陣の演技が良かったということ ♪
まずは大好きな安藤サクラさん。
この方の演技はいつみても本当に上手いと思います。
主演女優賞、当然です。
素晴らしい!
ソンホ役の井浦新さんも素晴らしかった。
多くを語らず、終始何かに怯えるような、そしてすべてを諦めてしまったかのような演技が秀逸でした。
そしてさらにもうひとり。
ヤン・イクジュンさん(超名作『息もできない』の監督&主演)!
この方に関しては『息もできない』の演技&演出で大ファンになっちゃいました。
監視役という、この上ない憎まれ役ではあります。
国家に忠誠を誓う側の人間としての
自己感情を極力抑えた目線や表情、言葉の発し方がとてもリアルに感じられました。
正直、よくこの役を引き受けられたと思います。
本作を観て
私は自分に与えられた自由の有難さを実感するとともに、私が自由を “ 無駄遣い ” していることもまた痛切に感じました。
よく「自由には責任が伴う」といいます。
しかし
自分の人生に責任を持つことさえ許されない人が、今も海の向こうにいらっしゃるという事実。
映画のなかで兄ソンホが妹リエに言います。
「(あの国では)考えてはいけないんだ。
考えると頭がおかしくなる。
考えることがあるとすれば、それはただひとつ。
どうやって生き抜くか。
それだけだ」
「だからお前はたくさん考えろ」
そしてやはり
本作は、家族がテーマの作品だと思います。
「家族が一緒にいる」
至極当たり前のことが、いかに尊く大切なことか。
・・・映画最終カットの意味は、本当に深いと思います。
とにかく
本作は是非ご覧になられることをお勧めいたします。
もう言い切っちゃいます。
必見!
安藤サクラさんは リエさんでしたね。素晴らしかった。
また 大好きな井浦新さんは もう 何を着ても どんな髪型でも 素敵でした。
明日から 日曜美術館の新司会者をなさるのも 嬉しいです。
特に 最近は 近いからこそ面倒な国が多いな…と思うことが多かったですが このような状態になった原因が 祖国と家族を思う気持ち の 言葉は悪いですが悪用だったんだと気がつきました。
また 一作目の反省文を書かずに 家族に会えなくなった監督の あえぎながらも 闘う姿を見習いたいと強く思いました。
来週からディスクを見られない環境になるので 良かったら 三枚+一冊 お送りしましょうか?
ヤン・ヨンヒ監督の苦悩は察するに余りあるものかと思います。
と同時に、彼女の下した決断に心から敬意を表したいと思います。
>三枚+一冊 お送りしましょうか?
お気遣い、感謝申し上げます m(_ _)m
ただ
せっかくお送りいただいてもいつお返しできるか分かりませんので、お心遣いだけ有難くいただきます m(_ _)m