棺のサイズのお話。
たとえば
葬儀依頼の際、「すぐに納棺して欲しい」とのご要望をいただく場合があります。
すると私たちは必ずお尋ねするんですね。
「故人様のおおよその身長と体重をお教えいただけますか」
これは当然のことながら、棺のサイズのことを念頭に置いたうえでの質問です。
病院へお迎えに伺う時点で、お棺も持参しなくてはならないので。
棺のデザインなどによって多少の誤差はあるかもしれませんが
一般的な棺のサイズは、長さがだいたい180㎝、幅が50㎝少々、といったところです。
では
この標準サイズの棺で“無理なく”対応できる御遺体の身長はというと・・・
大体170㎝ちょっと、までなんですね。
175㎝を越える身長の方となると、私たちはひとつ上のサイズをお勧めするんです。
「標準サイズで収まるじゃん?」
「勝手に大型の棺を勧めて、売上を上げようって魂胆か?」
・・・いやいや(汗)
決してそのような意図ではありませんです、はい。
単純な理屈として
棺のサイズ(正確には内寸)と故人様の身長を比較すれば、175㎝の方でも標準サイズのお棺にお納めできないことはありません。
・・・但し、とっても窮屈な印象になるんです・・・
まず
一番分かりやすいのが、足首です。
皆さんも横になってみて、ご自分の足首をご覧ください。
足首の筋肉が弛緩した状態ですと、つま先立ちのような状態になります。
つまり実際の身長よりも、少しだけ“身長”が高く(長く?)なるんですね。
実際は大体5㎝くらい余分に必要だったりします。
(急場の措置として、故人様の膝を曲げて足を交差させるような形で全体の“身長”を抑える、という方法もあるにはありますが)
そして次に「頭」です。
単純に棺に納まればいいというものではなくて
やはり故人様の頭部と棺の内壁との間には、少々のゆとりがあった方がいいんです。
故人様の頭頂部に棺の内壁が接触しているような状態ですと
はたから見た印象は「窮屈」そのものなんです・・・
「故人様を棺にお納めする」ということ自体
ご遺族様にとっては、結構心理的に辛いものです。
ただでさえ「狭い箱のなかに入れるなんて・・・」という心理がはたらくところへ
そのサイズがギリギリともなると、ご遺族様は罪悪感さえ感じられることもあるのです。
(こんな窮屈な箱に入らせちゃってごめんなさい)
日本人の平均身長は間違いなく高くなってきていて、大型サイズの棺を使用するケースも年々増加の傾向にあります。
今や、標準サイズが標準ではなくなってきている、のかもしれません。
「じゃ、標準サイズを大きくすればいいじゃん」
今度は火葬場の炉のサイズがネックになってくる場合があるんです。
比較的新しい火葬場はある程度サイズを大きめに設計されているようですが
地方の古くからある火葬炉などは、上記の標準サイズの棺しか受け付けてもらえない場合もあるんです・・・
因みに私が死んだ場合
私の身長は182㎝なので、棺のサイズは(ウチでいうところの)190㎝バージョン、でしょうかね。
「無駄にデカイよなァ」
・・・ご迷惑をおかけ致します・・・ m(_ _)m