Oさんの生前見積り
今から約3年前のことです。
ウチの会社に「葬儀の相談をしたいから一度お会いしたい」との電話がありました。
時間と場所を約束して私が出向きますと、そこにいらっしゃったのが “ O ” さんでした。
Oさんは私より10歳くらい年上の女性で、とても笑顔の素敵な方でした。
「私はつい先日まで滋賀県におりましたが、最近両親ともども名古屋に越してまいりました。
私は生涯独身でして、両親も病に伏せっておりまして、また私にはひとり妹がおりますが、妹は嫁いでおりまして迷惑をかけたくないので」
やわらかな関西なまりの、とても優しい話し方。
(あぁ、ご両親のご葬儀に関するご相談なのだな)
と思いました。
「カトリック南山教会に信者の籍を移しまして、お葬式のことはどなたに相談したらよいでしょうかと尋ねましたところ、お宅のことをご紹介いただきました」
とても有難いことです。
「実は私のお葬式の事なんです」
・・・え?
「私、末期のガンなんです。
余命が3カ月と診断されてまして、もうそんなに時間が残されていないんです」
・・・かくして私は、Oさんの、死に臨む準備を託されたのでした。
(つづく)