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カテゴリ:本( 101 )

『 キリスト教のリアル 』 松谷 信司

 
基本的に
私の読む本は、専ら娯楽小説であります。
いわゆるハウツーものとか、お勉強系は苦手(勉強嫌いですから)。
新書サイズの本を手にすることも、まず無い人間です。

しかしながら
何かとお世話になっている方の書かれた書籍、しかもキリスト教を題材にした本ということで、出版から一年以上経ったところではありますが手に取ってみました。

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なかなか面白かったので、画面いっぱいに宣伝しときました(笑)


日本人の0.8%しか知らない「キリスト教」
近年、様々なメディアでキリスト教が取り上げられているが、その多くが「(日本における)現場・現実」と接点のない、「歴史や教養」のひとつとして語られることが多い。
日本に約0.8%いると言われているクリスチャンや牧師・神父の現状を書いた、「キリスト教の今」を知るための一冊。
(書籍背表紙説明より)



本書の著者である松谷信司さんとの交わりのきっかけは
盟友:はるさん(『株式会社シャローム』代表取締役)からのご紹介でした。
キリスト教葬儀について研究・情報や意見の交換を行うネット上の任意団体『キリスト教会葬儀研究所(CCFI)』のメンバーとして、何度もネット会議を通じていろいろとお世話になっております。
彼が旗振り役となって開催されてきた『いのり☆フェスティバル』にも参加させていただき、私としてはお世話になりっぱなしなのであります (^^ゞ
お世話になりっぱなしなので
彼の所属するキリスト新聞社の発行する『キリスト新聞』に、時折寄稿させていただいておる次第であります。


さて、本書について簡単にご説明です。

本書は前半(第一部)が、今日の日本におけるクリスチャンたちの生活や実態、もっといえば「クリスチャンあるある」について語られます。
そして後半(第二部)が、実在の牧師先生や神父様による対話が掲載されています。

第一部で語られる、今日の日本のクリスチャンの実態について申しますと
やはりまず、同じクリスチャンである私からすると、終始ニヤニヤしながら読み進められるものでありました ♪
ただ同じクリスチャンと言っても
私はカトリック信者であり、プロテスタント信者の皆様の実態については知らなかったこともあったりして、そこは勉強にもなるものでした。
・・・同じクリスチャンでも
教派の違いによる小さな差異みたいなものって、結構あったりするんですよね~

そして第二部。
ここでは、各教派から集まった4名の牧師・神父による “ 歯に衣着せぬホンネ ” が次々と語られます。

集まった牧師・司祭がまた面白い ♪
単立『ともにチャペル』の森 直樹先生
日本のキリスト教世界では有名なバンド『牧師ロックス』を組む関野和寛先生
とってもお若い女性牧師の川上咲野先生
そして我がカトリックからは
カリスマ神父として名高い、晴佐久昌英神父様
彼らが一堂に会して
それぞれの教派に仕えながら、日々の生活や思うところを余すことなく語り合います。

牧師先生や神父様の「ホンネ」って
訊こうと思っても、なかなか聞けないじゃないですか。

(神に仕えるってどういうこと?)
(よくもまぁ牧師とか神父とかになる気になったなぁ)
(毎日何して暮らしてるの?)

クリスチャンである私たちでさえ、知らないことって沢山あるんです。
そういう意味では
私たちクリスチャンもまた “ 外野 ” の人間なのかもしれません。
そんな私たちの疑問が
本物の牧師先生や神父様の口から語られるのですから、面白くないはずがないのであります。


・・・ただひとつ、敢えて申しますが
ここに集った方々って、何気にエキセントリックなメンツだったりするんです。
私は直接お会いした頃はありませんが
たとえば関野先生なんてエキセントリックを通り越して、もはや「ファンキー」じゃないですか(笑)
そういう方々の語るホンネが
他に数多いらっしゃる牧師先生や神父様のそれと同じかというと、そこは何とも言い難いところではあると思うんですよね・・・

しかし一方で
牧師や司祭職になられた方々って、元よりエキセントリックといえばそうなのかもしれない。
・・・普通、牧師や神父に何てなろうとなんて思いませんもん。
(私も諦めたクチです)

まぁね
ここに登場される先生方の語られる言葉は、あくまでも「一例」と捉えるスタンスで読み進められれば良いのではないでしょうか。

少なくとも本作、私は非常に面白かったデス ♪
キリスト教に興味のお有りの方
すでにクリスチャンでいらっしゃる方々も含めて、是非ご一読をお勧めします。

最後に

一年前に行われた、本作の出版記念感謝礼拝&トークイベントの動画がありますのでご紹介しておきます。










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by dscorp-japan | 2017-07-23 00:00 | | Comments(5)

『 刑事の約束 』 薬丸岳

 
思い返してみると
本の感想を書くのは本当に久しぶりであります。
決して読んでいないわけではないのですが
何となく、ここで感想をご披露するまでもないかなァという作品が多くて・・・^^;

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講談社文庫(¥720+税)



万引き事件を起こした少年は、得体の知れない女とひっそり暮らす無戸籍児童だった。
憐れむべき存在かと思えた少年はしかし、刑事・夏目の捜査で予想外の相貌をみせる(『無縁』)。
割り切れない事情が、時にやりきれない犯罪を生む現代。
絶望がしのび寄る乾いた世の中に、わずかな希望のありかを探る傑作短編集。
(文庫本背表紙説明より)



ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが
本作は、いわゆる『夏目シリーズ』と呼ばれるものの三作目です。
一作目の短編集『刑事のまなざし』にはじまり
二作目の長編『その鏡は嘘をつく』があって、本作という流れです。
『刑事のまなざし』は
椎名桔平さん主演で、連続ドラマとしても放映されていましたね~

本作のキモはやはり
「夏目」という刑事のキャラクターなのだと思います。

教育学部を卒業し、法務技官となりましたが
自身の最愛の娘が通り魔によって暴行を受け、植物状態にさせられてしまったのを契機として刑事に転職したという、少々変わり種です。
基本的に仕事は定時出勤して、定時であがる。
刑事に「残業」という表現が正しいのか分かりませんが
余程のことが無い限り定時で帰ってしまうという人間です。
とはいえ、その捜査能力には秀でたものがあって
署内でも一目置かれている、と。


個人的な印象で申しますなら
この「夏目シリーズ」は、かつて人気を博したテレビドラマ『特捜最前線』の平成版といったところでしょうか。

様々な事件の裏にある、当事者たちの思い。
特にこのシリーズでは
被害者以上に、加害者が何故犯罪を犯したのかという点に焦点があてられているお話が少なくありません。
もちろん犯罪は決して許されないわけですが
主人公の夏目は「何故この犯罪が起きてしまうに至ったのか」をつぶさに捜査します。
加害者たちの苦しみや哀しみに目を向け
そのうえで事件の全容や背景を炙りだすところに、本作の魅力があると思います。

「許さない」。
でも「赦したい」。

第三弾となる本作の最後にある表題作では
夏目にとってとてつもなく大きな、ある出来事が起こります。
それは夏目にとっての希望となるのか
或いは新たな苦しみの始まりなのか。

さらなる次作があるのかどうかは分かりませんが
読者はきっと、夏目にエールを送る思いに駆られることでしょう。






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by dscorp-japan | 2016-12-14 00:00 | | Comments(4)

道尾秀介 『 光 』

 
皆様が幼少の頃
夏休みには野原を駆け回った思い出をお持ちの方へ。
おそらく本作は
そのような「かつて自然のなかで遊びまわっていた」というご経験をお持ちの皆様にこそ相応しい本ではないかと思います。
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光文社文庫(¥700+税)


利一が小学生だった頃、仲間といれば毎日が冒険だった。
真っ赤に染まった川の謎と、湖の人魚伝説。
偽化石づくりの大作戦と、洞窟に潜む殺意との対決。
心に芽生えた小さな恋は、誰にも言えなかった。
懐かしいあの頃の記憶は、心からあふれ出し、大切な人に受け渡される―。
子どもが持つ特別な時間と空間を描き出し、記憶と夢を揺さぶる、切なく眩い傑作長編小説。
(文庫本背表紙説明より)



すでに多くの方々が書評で指摘されておられますように
本作は『道尾版:スタンド・バイ・ミー』といえるお話かと思います。
私はスティーブン・キングの “ 本家 ” スタンド・バイ・ミーを読んだことがないのですが、さすがに映画は観ております。
ただ、あの映画に関してで申しますと
世間の評価ほど私は好きだったわけではありません。
きっとそれは私の個人的なトラウマによるものでして
私が小学生の頃一年だけアメリカに暮らした際
地元の上級生から(人種差別による)酷いイジメを受けた経験が原因なのだと思います (^^ゞ

・・・それはそれとして
本作の冒頭、数ページ読めば、私のような「かつて子どもだった大人」は皆きっと、懐かしさとともにワクワクする思いを抱かれるのではないでしょうか。
何せこの物語は
一学期の終業式の帰り道、つまり「夏休みの始まり」からはじまるのです。
あの頃
これからはじまる約一か月の「完全なる自由」(実際はそうでもないのですが)に胸を躍らせた方であれば、必ずや本作のページをめくる手は加速することでしょう。


これは私事ですが
当時、私は中途半端な都会?(つまり名古屋)に暮らしておりました(今もですが)。
ただ私の暮らしていたエリアは名古屋の東端でして
今でこそ文教地区っぽくなってますけど、当時はド田舎だったんです(笑)
私の暮らしていたアパートの目の前には大きな池があって、ザリガニやらカエルやらカメやらがいて、魚釣りも盛んでした。
アパートの東側には当時まだ手つかずの広大な原っぱと森があって
そこには当たり前のようにキジが飛んでいたし、夜になれば野犬の遠吠えも聞こえるといったところでした。
だから親には「あそこには絶対に立ち入るな!」と言われていたのですが
・・・まァ行きますわな、そりゃ (^^ゞ
夏になれば、早朝にかぶと虫やクワガタがワンサカとれましたし
池のほとりじゃオニヤンマが飛びまわり
秋になればショウリョウバッタトノサマバッタが飛びまわっていたものです。


・・・と、個人的な思い出を披露しましたのは何故かと申しますと
本作の舞台が、まさに私の幼少時の原風景さながら、なんですよね ♪


本作は、4~5人の子どもたちを中心にいくつかのエピソードが語られるんですが
それぞれのエピソードのなかで描かれる、ほんの些細な描写のひとつひとつが
(あぁ~思い出した!オレにもあったわそんなこと!)
(分かるわァ~その気持ち・・・)
と、頷かされることばかりなんですよ。

・・・物語を読み進めるプロセスの楽しいことといったら・・・!


この作品ために申し上げておりますと
本作にはミステリー要素もしっかりと織り込まれております。
しかしそのミステリーは
初期の道尾さん作品のような禍々しいそれではなく
もっと人間的なもの、現実的なものです。
さらには
最終章まで読み進めることではじめて分かる「タネ」もあります。
(最冒頭に書かれた作品の作者名とか!)


とにかく、私は大いに楽しめました ♪
読んだ季節が今だった、ということもあるのかもしれません。
ということで
興味のお有りの方は是非、この夏休みの間にお読みいただくとよろしいかと ♪






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by dscorp-japan | 2016-08-04 00:00 | | Comments(4)

『 サラバ!』 西 加奈子

 
持つべきものは「教え子」なのであります!(笑)

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小学館(¥1600+税)×2冊


私は専ら文庫本派なのですが
その主たる理由(というか言い分)は
「持ち歩きやすいから」「就寝前の読書に大きさが手頃だから」
ということなのですが
一方のホンネとして「単行本は値段が高いから」というのもあるわけです (^^ゞ

そんなことを知ってか知らずか
過日、私のガッコのセンセ時代の教え子から
「これ、自分は読み終わったから」
と、この二冊を渡されたのでした(実際は他にももう一冊渡された)。
「有難いが、オレはいつ読み終わるか分からんよ」
とかえすと
「いいよ、あげるよ」

おお神よ!
持つべきものは「教え子」なり!

・・・と、天に手を合わせた次第(ウソ)


すでに皆様ご存じの方も少なくないと思います。
昨年の『直木賞』受賞作であり『本屋大賞・2位』となった作品です。
かの芥川賞受賞作家である芸人さんが絶賛し
賛否両論のなかにあっても、多くの作家さんも高い評価をされているとのこと。

そんなわけで私もまた
昨年発刊された単行本のなかでは『教団X』とともに、いちばん読みたい作品のひとつとなったわけです。

・・・でも買わなかった。
だって私には高いんだもん ^^;
しかも上下巻って・・・(><)

・・・そんな私に差しのべられた、教え子からの救いの手(笑)

で、このほど読了致しました次第デス m(_ _)m

            ♢

すでに、相当数の方々が読後の感想をネットに上げられていらっしゃいます。
あらすじなども、ちょっと検索すればドッサリあります。
ですから少なくとも
あらすじの説明は割愛させていただきますネ。
(何せ700ページにわたる長編ですので、あらすじ書くのが面倒臭いんです)

まず
良かったか否かと問われれば、私は「良かった」と答えます。
でも何が良かったのかと問われると
何となく答えに窮するというのがホンネかもしれません。
正直なところ
本作のどこがどのように良いのか分からないんだけど、でも何か良い。

他の方々の感想などを拝見しますと
「さすがにちょっと長い」
「文体・文章が自由すぎる」
などといったご意見が散見されます。

しかしそれらはおそらく
読み手側の速度感だったり、センスの相違だったりといったことによるものかと。
批判的な感想を述べられた方に「センスが無い」ということではなく
つまるところ「好き」か「嫌い」か、という意味です。

本作に限って申しますなら
作者である西 加奈子さんという存在を充分に意識したうえで読む作品のような気がします。
物語の舞台や時代背景が
西さんご本人の生い立ちと無関係でないことは明らかだと思います。
本作がご本人の自伝ではないのでしょうけれど
ご自身の歴史とリンクした物語であることは間違いないところでしょう。

いずれにしろ
とても力強い作品だと思います。
西さんのパワフルな人間性が滲み出ているような作品だと思います。

            ♢

ここで
本作の文中で最も頷けた箇所を抜粋させていただきます。

「大切なのは、違う人間が、違うことを認めて、そして、繋がることだ。
宗教なんて関係ないんだ。」
(下巻:334ページ)

昨日
フランスのカトリック教会に刃物を持った男二人が押し入り
神父様を殺害したそうです(→ニュース記事
一方で
相模原の施設では凄惨極まりない事件が起きました。

お互いが違うことを認め合い、繋がり合うことは出来ないものなのでしょうか・・・






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by dscorp-japan | 2016-07-27 01:33 | | Comments(5)

『 交渉人 』 五十嵐貴久

 
『担当編集も驚愕した、まさかの真犯人!
   あなたは見抜けるか!?』

       (文庫本オビ宣伝より)

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幻冬舎文庫(¥648+税)


2003年に単行本が発行された本を
いまさらですけど、初めて読みました (^^ゞ

三人組のコンビニ強盗が、総合病院に立て籠もった。
院内の人質は五十人。
犯人と対峙するのは「交渉人」石田警視正。
石田はテレビやプロ野球の話題を織り交ぜ、犯人を思い通りに誘導、懐柔していく。
しかし、解決間近と思われた時、事件は思いもよらない方向へ転がる。
真の目的は何なのか?
手に汗握る驚愕の展開と感動のラスト。
傑作サスペンス。

(文庫本背表紙説明より)


『交渉人』という単語を聞いてまず思い浮かべるのは
ケヴィン・スペイシーとサミュエル・L・ジャクソンによる傑作サスペンス映画。
(→過去記事
あの映画は何度観ても面白い!!!
・・・勝手な憶測ですけど
あの映画以降「交渉人」という存在というか概念が広く認知されたような気がします。


で、本作についてです。

たしかに本作のラストでは驚愕の真犯人が明かされるのですが
私個人としては、そこに至るまでのプロセスが非常にスリリングで楽しめました。
プロセスとはつまり
病院に籠城した犯人と「交渉人の第一人者」とされる石田警視正が真っ向から対峙し、双方の思惑が交錯するなかで事件が解決へと向かおうとする、その流れです。
石田警視正が事件現場に到着して以降の描写は
それはもう文字通り「一気読み」です。
面白くて、どうにも止められない・・・!
それこそ
先述のハリウッド映画『交渉人』に勝るとも劣らない緊迫感です。


さて “ 驚愕の真犯人 ” について。

私も真犯人は見抜けませんでした。
でも
やっぱりサスペンス小説ですから、そこはちゃんと伏線が張ってあるんですよね。
真犯人は分からなかったけれど「伏線」には気付いてました。
籠城犯の語った、たった一言なんですけどね。
そこに違和感を感じて(・・・あれ?もしかして?)とは感じました。
そこからどれだけ想像力を働かせられるか、なんですが
何たって、事件現場の緊迫感の方が先に立ってしまって・・・

というか
最初に紹介したオビ宣伝の言葉があるから
(突拍子もない登場人物が犯人なんだろうなァ)とか考えてしまうわけですよね・・・^^;


とはいえ
その部分もひっくるめて、充分に面白い小説でありました ♪





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by dscorp-japan | 2016-05-17 00:09 | | Comments(2)

『 路傍 』 東山彰良

 
・・・最近
小説感想文ネタが少ないなァと、自分自身も気付いておりました。
昨年末の白内障手術も終え
視力も(それなりに)回復したわけですから、当然本は読んでるんです。

・・・単に「当たり」が引けなかったんです・・・

(こりゃ~面白かったなァ)という本に出会えてなかったということです。

・・・以前、畏友:西経一神父様に言われたことがあります。
「面白い本に出会うことも才能のうちなんだぞ」だそうな。
つまり
私には読書する才能が無いってことか・・・orz


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集英社文庫(¥571+税)


俺、28歳。
金もなけりゃ、女もいない。
定職にも就いてない。
同い年の喜彦とつるんでは行きつけのバーで酒を呑み
泥酔したサラリーマンから財布を奪ったりしてはソープランドへ直行する日々。
輝いて見えるものなど何もなかった。
人生はタクシーに乗っているようなもので
全然進まなくても金だけはかかってしまう。
そんな俺たちに今日も金の臭いがするトラブルが転がり込む。
第11回大藪春彦賞受賞作。
(文庫本背表紙説明より)



自分の嗜好から申しますと
いつもの私なら、まず手に取らない類の小説だと思います。
ではなぜ、本作を手に書店のレジへ向かったのかと申しますと
巻末にある、馳星周さんによる解説を読んだからです。

・・・とにかくベタ褒めなんですよ。
東山さんの文才を、天賦の才と言わんばかりに。

あくまでも個人的なイメージですけど
馳さんって、何だかとってもハードルが高い方のような印象なんです(私だけ?)
何となくストイックで
ちょっとやそっとじゃ他者を褒めちぎることなんてない感じ?(勝手なイメージです)
そんな馳さんがベタ褒めなんです・・・


・・・で、読みました。
「面白い」というより
文章を追うことが楽しい小説でした。
(決して「面白くない」という意味ではなく)
何というか
ひとつひとつの文が、いろんな変化球で投げ込まれる感じ。
こちらの予測を裏切る切り口で攻めてくるのに
まるでそれがさも当たり前であるかのように、飄々と文章が続く感じ。

・・・う~ん、うまく言えないなァ (-_-;)

とにかく。
馳さんが仰るところの、東山さんの文才はその通りだと思いました。
少なくとも、真似して書ける文章ではないと思います。
あまりにも自由奔放な文章なのに、綻びが無いんです。
これって、センスの問題だと思うんですよね・・・


ストーリーに関する感想を申しますなら・・・

私は本作を読みながらずっと
昔のテレビドラマ『傷だらけの天使』を思い浮かべておりましたよ、と。

私の感性が正しいかどうかは保証できかねますが m(_ _)m
あのドラマの世界観がお好きな方ならきっと、楽しめると思います ♪






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by dscorp-japan | 2016-03-20 00:00 | | Comments(2)

『 さくら 』 西加奈子

 
白内障手術も終え
片目の視界がミストサウナ室のような “ 白いもや状態 ” を脱するに至り、これでいよいよ本が読みやすくなったゾと (^^ゞ
とは申しましても
手術前だって結構な量の本は読んでいたんですよ。
ただ、イマイチ(キタァ~ッ)って感じの作品に出会えておりませんでした。

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小学館文庫(¥600+税)


ヒーローだった兄ちゃんは、二十歳四か月で死んだ。
超美形の妹・美貴は、内に籠った。
母は肥満化し、酒に溺れた。
僕も実家を離れ、東京の大学に入った。
あとは、見つけてきたときに尻尾にピンク色の花びらをつけていたことから「サクラ」と名付けられた十二歳の老犬が一匹だけ。
そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。
僕は、実家に帰った。
「年末、家に帰ります。おとうさん」。
僕の手にはスーパーのチラシの裏に薄い鉛筆文字で書かれた家出した父からの手紙が握られていた―。
春の訪れとともに読みたくなるロングセラー作品。
(以上、文庫本背表紙説明文より)



>春の訪れとともに読みたくなる
・・・冬に読んじゃいましたけど (^^ゞ


西加奈子さんの作品は
デビュー作の『あおい』だけ読んだことがあります。
正直申しまして、それほど後に残るものが無かったという感想でした (^^ゞ
しかし今年『サラバ!』で直木賞を受賞されたこと
そして雑誌『 VOGUE JAPAN 』で「Women of the Year 2015」に選ばれたことで(じゃ~もう少し読んでみるか)と思い至ったことで、今回本作を手に取った次第です。


・・・え?
何故男の私が『 VOGUE JAPAN 』かですって?
そりゃアナタ、BABYMETALが「Women of the Year 2015」を受賞したから知ったに決まってるじゃないですか(←アホ)


・・・本作は、現代の『絵巻物』だと思いました。
そして西加奈子さんは「絵描きさん」なんだなぁと思いました。
西さんの用いる筆は「文字」。
そして選ぶ画材は「ことば」です。
「文字」という筆と「ことば」という画材を駆使して
西さんは、ひとつの家族の危機と再生を、一巻の『絵巻物』のように紡いでいかれたのだと感じました。
彼女の『絵巻物』は日本史の教科書で見たようなアレではなく
もっと鮮やかで、あらゆる色に満ち満ちていると思います。
・・・4Kテレビの画面みたいな?(ちゃんと見たことないけど)。

その鮮やかさを引き出しているのは
これでもかと言わんばかりに用いられる、個性的な比喩表現です。
私は読んでいる最中
ストーリーを追いかける以上に、西さんの比喩表現を楽しむ感じでした。

若さに溢れていて
瑞々しくて
キラキラとした光に満ちています。

「読み進める」というより
クルクルと、順番に絵巻物を鑑賞する感覚でした。



あと、ストーリー的に申しますなら
私は映画『ギルバート・グレイプ』を連想しましたよ、と。







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by dscorp-japan | 2015-12-18 00:28 | | Comments(4)

『 十字架 』 重松 清

 
先日、いただいたコメントの返信に
「今、読んでいます」とお答えいたしましたので・・・m(_ _)m

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講談社文庫(¥648+税)

いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、僕の名前が書かれていた。
あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。
でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。
あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう。
そして、のこされた家族は、僕のことをゆるしてくれるだろうか。
吉川英治文学賞受賞作。
(文庫本背表紙説明より)



・・・「いじめ」を扱った小説です。
「娯楽小説」と呼ぶには、あまりにも重たいテーマの小説です。
こんな私でも
最初こそベッドに寝そべって呑気に読んでいたのですが、いつしか半身を起こして、襟を正すような思いでページをめくっておりました。

本作の大きな特徴のひとつとして
「いじめ」を、直接的な加害者や被害者以上に「いじめの傍観者」となった人物に焦点をあてているというところだと思います。

主人公は、自殺した少年に「親友」と名指しされた少年。
かつてはお互いによく遊んでいた仲だったのが
中学にあがって以降、なんとなく疎遠になってしまった。
中学二年になり、同じクラスの “ かつての友人 ” がいじめに遭うのを知りながら
主人公は他のクラスメイトと同様、傍観者となった。
ある日突然、かつての友人は自ら命を絶った。
そして
彼の遺書に主人公は「親友」として、その名が記されていた。
かくして
主人公の少年は「傍観者の代表」にさせられてしまった・・・


本作を読み進めるなか、何度も思ったことがあります。
(本作執筆の過程で、重松さんはさぞや苦しまれたことだろうな)
物語の原作者である以上
登場人物それぞれの思いに心を重ねなければ、こんなに深く心情をあぶり出すことなど出来るわけないのであります。
こと本作において
「登場人物の思いに心を重ねる」という行為が、いかに苦痛を伴うものかは想像に難くないのであります。

文庫本の最後に
『文庫本のためのあとがき』として、作者ご自身が本作執筆の経緯を記されています。
そのなかに、こんな一節があります。

(以下抜粋)
秋の二週間、集中して書いた。
頭から川に跳び込んで、潜ったまま対岸まで向かうように
このお話のことだけを考え、すべての時間を執筆に費やして、途中の息継ぎなしに書き上げた。
そんなやり方でお話を書いたのは初めてだったし、今後もないだろう。
(後略)


・・・本作は、そうして書かれた作品だということです・・・


タイトルの『十字架』とは、誰にとってのそれなのでしょう?

いじめに遭い、自ら命を絶った少年。
いじめを行った加害者の少年たち。
いじめを見ていながら何もしなかった、主人公を含めたすべての傍観者たち。
担任の教師と学校。
加害者と被害者それぞれの家族たち。

・・・おそらく、これらすべての人の十字架なのでしょう。

たったひとつのいじめが
これほどまでに多くの人に十字架を背負わせてしまうということなのでしょう。


しかし一方で
タイトルの『十字架』は最後の最後、ほんのりと優しい表情も見せてくれます。
それが救いなのかどうか、私には分かりません。
ただ私には
「それでも生きろ!」と十字架が語りかけているような気がしたのでした。


来年、本作が映画化されるそうです → 公式HP






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by dscorp-japan | 2015-09-03 00:00 | | Comments(0)

最近読んだ本


巷じゃ
又吉先生の “ 火花フィーバー ” の様相ですよね ♪
私も読んでみたいとは思っているのですが
基本的なスタンスとして「文庫本が出てから」というのがありますので (^^ゞ

とはいえ
内心じゃ中村文則さんの『教団X』と
西加奈子さんの『サラバ!』が読みたくてウズウズしてるんですけど・・・

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・・・ここに映っていない作品も読んだりしてます。

たとえば角田光代さんの『紙の月』とか
白石一文さんの『翼』とか
西加奈子さんの『あおい』とか。

それぞれ、それなりに良かったなァと思う作品ではあるのですが
(この作品は是非取り上げて感想を書きましょう)
と思わされるところまでには至らず、といった感じ。

・・・でもさすがに
警察モノにはちょっとだけ飽きてきちゃったかな ^^;
警察モノでも今後も追いかけようと思うのは
・・・やっぱり横山秀夫さんだけは外せませんよね。
ちょっと目先を変えて
警察モノ以外のミステリー小説で良さげな作品を探したいなァ~ ♪
沼田まほかるさんの『ユリゴコロ』の衝撃を
もう一度どなたかの作品で味わってみたい今日この頃。






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by dscorp-japan | 2015-08-27 02:06 | | Comments(8)

「姫川玲子シリーズ」の作品タイトルについて

 
いま読んでいる作品のうちの一冊がこれなんですね。
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『ストロベリーナイト』から続く「姫川玲子シリーズ」のひとつです。
まだ読了はしておりませんが
姫川シリーズの世界観はインプット済みですので、なかなか面白く読んでおります。


ところで
今回はこの姫川シリーズ各作品のタイトルについて。

まずはここで、姫川シリーズのタイトルを列挙しておきます。

ストロベリーナイト
ソウルケイジ
シンメトリー
インビジブルレイン
感染遊戯
ブルーマーダー
インデックス

これはすでに一部の読者から指摘されていることですが
特に姫川シリーズのタイトルの多くは、何らかの音楽関連からインスパイアされたものが少なくないのでは、とされています。

いちばん言われるのが
『ソウルケイジ』→スティングのアルバムタイトル『 Soul Cage 』
というもの。

ハードロック好きの方なら気付くであろう
『ブルーマーダー』→ジョン・サイクスのバンド 『 Blue Murder 』
というのもあります。

あと個人的な推測ですけど
『インビジブルレイン』の “ インビジブル ” って単語は、結構音楽関連のそこここで見受けられるものかと。
たとえばジェネシスの『 Invisible Touch 』とか
パット・ベネターの 『 Invisible 』とか。

作者の誉田哲也さんが作家デビューする前
ロックバンドを組んでプロを目指していたというのは有名な話です。
おそらく誉田さん、音楽(特にロック系)の造詣が深くていらっしゃるのでしょう。
そういう前提で考えた場合
これらが読者の勝手な憶測なのかどうか分かりませんけど、私なんかはタイトルをみて(あのバンドかな?)(あの曲かも?)と考えるのは何気に楽しいものです。



・・・で、ですね。
大まかにネットで調べる限りはどなたも仰っていないようなんですが
もしかすると『ストロベリーナイト』というタイトルもまた、元ネタがあるのではないかと勝手に考えるわけです。
実は私、すぐに思い当ったんですね、この曲が。



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1980年発表

誉田さんの年齢は、私よりちょっとだけ下。
ざっくり言えばほぼ同年代かと (^^ゞ
誉田さんがこの曲からインスパイアされたという確証はございませんが
この曲、広義での『危機』をテーマとした作品です。
そういう意味でも『(姫川シリーズの)ストロベリーナイト』にもなかなか合っているのではないかと。

真偽のほどは分かりませんけど
若い頃に原田真二さんのファンだった私としては、勝手に嬉しく思ってたりします (^^ゞ





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by dscorp-japan | 2015-08-01 00:00 | | Comments(0)
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これでも葬儀屋さんのブログなのだ


by dysmas
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