一礼する対象
記事更新のサボり癖が常習化しつつある拙ブログでありますが
この一週間は本業のお葬式が忙しく、記事を書く余裕がありませんでした m(_ _)m
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さて
前回の記事に対するご質問をいただきましたので
私なりの解釈としてお答えさせていただきます。
まず
「遺影写真に一礼をしなければならない」というのは、やはり違うということです。
少なくともマスト(must)ではないということ。
いちばん分かりやすく、というか
日本でいちばん多いであろう仏式葬儀を例にとって考えてみます。
たしかに仏式葬儀の焼香時って、正面を向いて一礼したりしますよね。
では、あの一礼は何を対象としてされるのか、ということです。
多くの一般的な仏式葬儀の場合
祭壇には、その宗派のご本尊が祀られるのが本来的であります。
地域性などもありましょうし、最近では生花祭壇も増えてきておりますので
ご本尊の無い祭壇も見受けられることもあるようなのですが
たとえば、昔ながらの輿(こし)と段飾りで構成される葬儀祭壇ですと、輿の中央あたりにご本尊が祀られているはずなんですね。
遺影写真の上あたりと考えていただければと思います。
※「輿」とは
葬儀祭壇の上の部分、屋根付きのお宮のような形をしたところをいいます。
多くの仏式葬儀の場合
私たちが焼香する際には、このご本尊に一礼するというのが本来的な意味であると思います。
故人様の魂が
迷うことなく(その宗教の提唱する)安息の地へ導かれますようにと「ご本尊に祈願する」という意味です。
つまり
手を合わせること(仏教の場合は合掌)も、一礼することも
遺影写真に対してされるのではなく、ご本尊に対してされるのが本来的であるというわけです。
仮に故人様を対象として手を合わせたり頭を下げるのであれば
やはり遺影写真に対してというより、故人様のご遺体に対してという方が、より意味があるというのはお分かりいただけると思います。
(ご遺体に対してのそれも良しとしない宗教もあります)
実際にご焼香などで祭壇前へとお進みいただいた際
手を合わせた状態で遺影写真を見上げたりしますよね。
一連の所作の流れですから、その行為自体はそれほど問題はないでしょう。
しかしそのときも、手を合わせる対象は遺影写真に対してではなく
あくまでも、故人様の魂をすくい上げて下さる神仏に対して、であるべきだということです。
焼香時の一礼も
ご遺族様に対する一礼は、礼節ということです。
祭壇正面への一礼は、そこに祀られる神仏に対して、ということです。
「遺影写真に対して」ではない、ということです。
つまり
「何に対して」手を合わせたり一礼するのかということです。
要は、その対象なんですね。
繰り返しますが
「遺影写真に一礼をしなければならない」
ということは間違いである、ということであります。
一概に「してはいけない」ということではありませんが
「しないほうがいい」宗教も実際にある、ということであります。
お葬式には子どもたちも参列させて作法を教えていますが自信がありません。まずは親がきちんと作法を学ばないといけませんね。。
「作法を教える」というか
TPOに合ったマナーを、まずはお教えいただければと思います。
大切な人を亡くされたご家族ご親族の気持ちを考えてあげられるような人に育つといいですよね。