訃報連絡の難しさ
たとえば私の場合
お葬式の打ち合わせに伺った際の最後にご遺族に申し上げる言葉は、次のような内容です。
「まずは連絡すべき相手方への訃報連絡に専念してください」
「あとはどうぞ皆様、時間を見つけては少しでもお身体をお休めください」
・・・この
「連絡すべき相手方への訃報連絡」が、実は非常に難しかったりするんですね。
昨今で申しますと
参列者を限定するお葬式や、家族親族のみが参列する「家族葬」を選択される方が非常に増えてきております。
そういったお葬式に際して
ご家族として連絡される訃報の案内を、はたしてどこまでの範囲に絞ったらいいのかという問題があるわけです。
たとえば
「家族親族以外の参列は例外なく遠慮する」という本来的意味であるところの「家族葬」を選択されるなら、まず問題はないことでしょう。
或いは生前のご本人の意思として
「自分の葬儀に招くのはここまでの範囲」といった託(ことづけ)があれば比較的分かりやすいでしょう。
「私の葬儀には〇〇君とその仲間だけに連絡してくれ。
あとは一切知らせないで欲しい」
このように
本人の意思として具体的な指示があれば、家族はそれに従えばいいのでしょう。
仮に葬儀終了後
「教えて下さればよかったのに」といった声が聞かれたとしても
「申し訳ありません。生前の本人の遺言でしたので」とおこたえできます。
しかしながら
ただ何となく「家族葬で良いんじゃない?」といった判断で進められる方が少なくありません。
で、家族葬としておきながらも「〇〇さんと△△さんにはお越しいただこう」という方も結構いらっしゃいます。
しかし
では “ 例外的に ” どなたか一部の方に訃報連絡をされた場合
お葬式にお招きいただいた以外の方が、どのように感じられるかということもあるんですね・・・
「私は〇〇君(=故人様)とは学生時代からの竹馬の友でしてね
しかし今回のことはまったく知らされず、後になって△△君(葬儀に呼ばれた方)からお聞きした次第です」
ご本人の交友関係とその関係の深さは
実はご本人にしか分からないことが少なくありません。
たとえば職場であったり地域のコミュニティであれば、その窓口へ連絡すればいいことでしょう。
しかしプライベートな(或いはパーソナルな)関係性となると
家族であってもなかなか掌握することが難しいことがあります。
そして
実は故人様とそうした関わりのあった方こそ、お招きすべき方だったりすることもあるんですね。
ではそうすればいいのか、ということですが・・・
無責任な言い方で申し訳ありませんが
残念ながら、そこに確たる妙案があるわけではありません。
そもそも
「お招きすべき方にもれなく連絡をする」ということ自体、難しいものです。
たとえ「参列者の範囲を限定しない」としたお葬式であっても
お亡くなりになられてからお葬式当日までの短い期間での作業となるわけです。
「完璧」などということは非常に困難なんですね・・・
そのうえで申しますなら
やはり、生前にご本人の意思表明が為されていることが望ましいということになるかと思います。
エンディング・ノートなどは、そうした意思表明のツールとして有効なのではないでしょうか。
・・・日頃、私たち葬儀屋さんはお客様にアドバイスはいたします。
でもそれを実行するご家族は、本当に大変なのだということなのです・・・ m(_ _)m