人気ブログランキング | 話題のタグを見る

D’s(ディーズ)さんのぶろぐ

dscorp.exblog.jp Top

『 凶悪 ある死刑囚の告発 』 「新潮45」編集部編

 
つい最近まで私
本作のことを、寡聞にして存じ上げませんでした。
ついでに
本作で取り上げられている、実際にあった事件のことも・・・ m(_ _)m

『 凶悪 ある死刑囚の告発 』 「新潮45」編集部編_a0153243_3312589.jpg



人を殺し、その死を巧みに金に換える “先生” と呼ばれる男がいる―
雑誌記者が聞いた驚愕の証言。
だが、告発者は元ヤクザで、しかも拘置所に収監中の殺人犯だった。
信じていいのか?
帰社は逡巡しながらも、現場を徹底的に歩き、関係者を訪ね、そして確信する。
告発は本物だ!
やがて、元ヤクザと記者の追及は警察を動かし、真の “凶悪” を追い詰めてゆく。
白熱の犯罪ドキュメント。
(文庫本背表紙説明より)



ご存知の方も(或いは映像をご覧になった方も)あるかと存じます。
本作品は、先ごろ公開された映画 『 凶悪 』 の、原作ドキュメントであります。
(映画公式サイトはコチラ

・・・私も映画の予告なんかはネットで拝見していたんです。
(あぁ~またオドロオドロしい犯罪ミステリー映画なのネ~)くらいに思ってました。

・・・実際にあった事件なんですね・・・(驚)


『週刊新潮』の記者(後に『新潮45』の記者)である筆者が
告発者である収監中の殺人犯・後藤良次氏との接見を重ねて告発内容を検証した結果、それが信用に足るものと判断したうえで警察に上申書を提出し、ついに真の 『凶悪』 である “先生” に捜査の手が及ぶまでの一部始終が綴られたものです。

・・・まず何より
本作でレポートされているような事案が、この現代日本で実際にあったということに慄然とさせられます。
平和な国(であるはずの)日本にも、確実に「闇」はあったという事実。
そしてその「闇」は
後藤という告発者がいなければ、永遠に白日のもとに晒されることはなかった・・・

フィクションを凌駕するノンフィクション。
プロのミステリー小説家でも簡単には思い付かないだろうと思えるほどの、恐ろしい事件。
まさに「事実は小説よりも奇なり」です。

この事件の背景からは、多くの問題が浮かび上がります。
金の為に何名もの尊い命を奪っておきながら
警察の捜査対象とさえならないまま、のうのうと社会生活を送ってきた人間が実際にいたということ。
まさに 『凶悪』 です。
そして被害者の何名かは、その亡き骸さえも発見されないままだということ。
当時の警察が、被害者の死を「事件性なし」と誤認してしまったということ・・・


本作を読んで、こう思うのは私だけではないはず。

(もしかしてこれは氷山の一角なのかもしれない・・・)

その思考にまた、慄然とするのです・・・


正直、本作は読んでいてあまり気分のいいものではありません。
そこに書かれている犯罪は、あまりにも常軌を逸したものであります。
(人間は金の為にそこまで出来るのか?)

しかし一方で
本作は、不思議な引力で読者を引きつけます。
おそらくその引力とは
筆者の、記者としての地道で真摯な取材に裏打ちされた、それは「記者としての正義感」なのでしょう。

「事実をありのまま白日のもとに明らかにする」

ただその一念が、本作を第一級の犯罪ドキュメンタリーたらしめています。

            ♢

「是非ご一読下さい」などと、軽々にお勧めできるものではありません。
読むにあたっては、それ相応の覚悟が必要だと思うからです。

しかし
ここに書かれていることはすべて事実だと信じるに足る、説得力に満ちています。
事件に焦点をあてるのではなく
悪意に満ちたヴェールに隠された闇を暴く雑誌記者の取材姿勢に目を向けた時、素晴らしい作品と映ることでしょう。
by dscorp-japan | 2013-10-25 05:01 | | Comments(0)
line

これでも葬儀屋さんのブログなのだ


by dysmas
line
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31