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D’s(ディーズ)さんのぶろぐ

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『 人は死なない 』 矢作 直樹

 
・・・私、基本的にこういう類の本には滅多に手を出さないんです。
私にとって読書とは現実逃避の手段であり、娯楽以上でも以下でもありません。

「楽しくなけりゃ読書じゃない!」

だから専ら娯楽小説に終始するわけなんです・・・(笑汗)

ところが先日
ある人から本書の存在を知らされ、また薦められました。
「医療現場に携わる人が書いた本で
命とか宗教とか、あとちょっとお葬式の事も書いてあったよ」

・・・そう言われちゃ~読まないわけにもいきませんか・・・(汗)

『 人は死なない 』 矢作 直樹_a0153243_2172117.jpg

(バジリコ株式会社 ¥1300+税)


以前にはテレビ番組でも取り上げられたのだそうですね。
私は全然知りませんでした・・・ m(_ _)m


副題として
「ある臨床医による摂理と霊性をめぐる思索」とあります。
つまり
本書は医学ハウツー本の類ではないということです。

著者である矢作先生は、東京大学医学部附属病院救急部・集中治療部部長でいらっしゃいます。
いわゆる “ バリバリの現役医師 ” でいらっしゃいます。
日夜、多くの方々の生と死を間近に見てこられた
第一線の医療現場で感じてこられた立場としてのご意見が本書に込められているということでしょう。

本書の主旨を一言で表すなら

「人間の知識は微々たるものであること
摂理と霊魂は存在するのではないかということ
人間は摂理によって生かされ霊魂は永遠である、そのように考えれば日々の生活思想や社会の捉え方も変わるのではないかということ」
(本書「あとがき」より抜粋)
ということです。

矢作先生の仰る「摂理」とは
人間の人智を超えた存在、いわゆる「神」と称される存在を指します。
つまり矢作先生は
「どうやら神様はいると思うよ。
人間の魂は、肉体が滅んでも存在するみたいだよ」
と仰っているわけです。

医療現場に携わる方が
「神様はいる。霊魂は存在する」と仰る。
お医者様が仰るだけに、興味をそそられますよね~(笑)

本書において特にそのあたりに関連した実例が記されているのが、第三章「非日常的な現象」です。
ここでは矢作先生ご自身が治療にあたられた患者さんのケースと
治療後、患者さんご自身の口から語られた「そのとき何があったのか」について書かれています。
また、矢作先生ご自身が幼少時に遭遇した交通事故の際のエピソードもあります。

「非日常的な現象」と題されているだけあって
正直、にわかには信じ難いような内容ではあります。

憑依現象。
幽体離脱。

テレビの特番で語られるような話題が
現役医療従事者によって語られているのです・・・

おそらく矢作先生ご自身も
こうした現象を信じるか否かは、読者それぞれに委ねられていらっしゃるのだと思います。
ことさら強引に「信じなさい」などという論調ではなく
ただ当事者の語られた言葉のみを、修飾なく伝えるにとどめています。
個人的には、そのあたりに好感が持てました。

            ♢

・・・私が思いますに
矢作先生は、先生なりの「癒し」と「慰め」を提示したかったのではないでしょうか。
それは病を抱える患者さんに対してのみならず
「死」を恐れながら日々生活する私たちすべての人間に対して。

本来、その役割を担うべきは宗教なのだと思います。
それぞれの宗教が提示する死生観、魂の行く末。
そして摂理(神)の存在。
しかし現代社会に生きる私たちは
ともすると「宗教」に対するアレルギーがあって、それが却って真理を見誤ることになるということもあります。

いま、特に先進諸国において宗教離れが加速しているという見方があります。
「科学と宗教の共存」が困難な時代、ということなのかもしれません。
仮にそこで真理が語られていたとしても
現代の(それなりに)発達した科学が、その説得力を邪魔しているのかもしれません。
だからこそ
最先端医療に携わる立場にある人間として、この点に言及されたのでしょう。

矢作先生は仰います。
「現在の最先端医療にも限界はある」
「医療の世界ではまだまだ分からないことだらけだ」
転じて
「現代科学は万能ではない」ということを仰っているのでしょう。

先生は
「現代科学で実証出来ないことに対して謙虚さを忘れてはならない」
と仰っているのだと思います。

生かされていることへの感謝。
目に見えない摂理(神)の存在への畏敬。
それを忘れなければ
「生」も「死」も謙虚に受け入れられる、と。

「人は誰でもいつか死ぬ。
でも大丈夫。安心して下さい」

それが本書のメッセージなのだと思いました。






by dscorp-japan | 2013-09-10 00:00 | | Comments(0)
line

これでも葬儀屋さんのブログなのだ


by dysmas
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