『 藁の楯 』 木内一裕
本作の映画化が今日(!)公開されるみたいですね~
講談社文庫 (¥571+税)
二人の少女を惨殺した殺人鬼の命に十億の値がついた。
いつ、どこで、誰が襲ってくるか予測のつかない中、福岡から東京までの移送を命じられた五人の警察官。
命を懸けて「人間の屑」の楯となることにどんな意味があるのか?
警察官としての任務、人としての正義。
その狭間で男たちは別々の道を歩き出す。
(文庫本背表紙説明より)
私はまったく知らずに本屋で本作を手に取ったんですけど・・・
作者の木内一裕さんって
漫画 『 BE-BOP-HIGHSCHOOL 』 作者の「きうちかずひろ」さんだったんですね(驚)
全然知りませんでした・・・ m(_ _)m
私はあまり漫画を読まない人なんですけれど『 ビーバップ~ 』くらいは知ってました。
漫画家さんが小説家に転向って、スゴイなァ・・・
でも
数多の漫画家さんが構築されるプロットが優秀であることは、昨今漫画を原作とした映画が多いことで証明されているとも言えるのかもしれません。
漫画家さんの考えられるお話は面白い!ということなのでしょうね~
で、本作です。
本作を読み始めてまず感心したのが、文体がとても自然だということでした。
文章にもリズムというのがありますよね。
このリズムというのはつまり、本文内で選択される単語や句読点などが生み出すそれです。
そこに絶対的な正解があるわけでもないのでしょうけれど
仮にそのリズムが読み手と合わないと、読者は読み進める気を削がれてしまったりするものなんですよね。
そういう点で
“ 小説家 ” 木内さんの文章はとても読みやすかったです。
少なくとも、私のリズムとは非常に相性の良い文章でした ♪
次に、物語という点で本作を思い返してみると・・・
・・・正直、時折(んん???)と思わされる設定が無きにしも非ずではあったんです。
(たとえば「犯人の移送は陸路でしか出来ない」という結論の導き出し方など)
でも読み進めていくうち、そんなことは関係なくなってきます。
プロットとしては、それほど目新しいものではないと思います。
しかし本作のスゴイところは
犯人移送という名の「逃避行劇」に、倫理観や正義観、人間の根源的感情や葛藤を巧みに絡ませているところだと思います。
(一体オレは何をやってるんだ?)
主要な登場人物のおそらく全員が、この思い払拭できないままに動き続けるという描写が素晴らしかったです・・・
♢
ところで、本作で移送に携わる五人は全員男でした。
対して、映画では(どうやら)五人のうちのひとりが女性(松嶋奈々子さん)のようです。
原作を読んだ立場から言わせてもらうと、ちょっと違和感があるような気がするんですけど・・・?
ファンなのです。かぞくのくにで好演された 井浦新さんにも素敵だし♪おばさんにも楽しみがあります。井浦新さん 日曜美術館の司会なかなか多弁ではないですがこちらも良いですよ♪