人気ブログランキング | 話題のタグを見る

D’s(ディーズ)さんのぶろぐ

dscorp.exblog.jp Top

『アントキノイノチ』 さだまさし

 
『アントキノイノチ』 さだまさし_a0153243_053250.jpg

                               幻冬舎 刊 (¥1,333×税)


私の父が昔ッからさだまさしさんの大ファンでして
そりゃ~もうかなりの筋金入りでして(笑)
『グレープ』の頃からはじまって
さださんのリリースするシングルだのアルバムだの、とにかく全部買ってきておりました。
たしか『書簡集』というタイトルの、LP10枚組レコードなんかも買ってきて聴いておりました。
若かりし頃の私はオーディオ・オタクでしたので、当時としては結構高価なオーディオを所有しておりまして
父はさださんのアルバム全部、クルマの中で聴きたいからということで
レコードをカセットテープにダビングさせてましたね~。
ま、ちょっとだけ小遣いをセシメテおりましたが(笑)

そんな父の影響もあって
基本的にはハードロック&プログレッシヴロック一辺倒だった私も、さださんの音楽はよく聴いておりました。
12インチ・シングルの『親父のいちばん長い日』なんかは好きでしたね~

・・・まぁ、そんな話は置いといて。


さださんの小説は『聖霊流し』だけ読んだことがあります。
少々クサイ話だなァとは思いましたが(笑)でもそれなりに好きでした。

で、本作。
少し前に本屋さんで見つけて
(何ちゅうタイトルじゃ)と思ったもんです。
本に巻かれた帯には『元気ですかぁ!』とまで書いている(汗)

ところが、パラパラとめくってみると・・・
“遺品整理屋” の文字が。

・・・んん?
否が応でも、葬儀屋さん的触覚がはたらくわけですねこれが(笑)
即購入したんですが、かなりの時間を経て、このたびようやく本作を読み終えたわけです。


高校時代の同級生との人間関係が原因で、心に傷を負って高校を中退した永島杏平。
数年間のブランクを経て、父親のすすめで勤めだしたのが遺品整理屋さん。
亡き人たちが生活していた家(部屋)の遺品を整理&廃棄するお仕事。
なかには独居の方が亡くなられたまま、発見が遅れたために凄惨を極める現場もあります。
思わず目を背けたくなるような現場も経験しながら、杏平は生きることを学んでいきます。
職場仲間とよく行く居酒屋で、杏平はお店の“看板娘” である沢村雪子と知り合います。
雪子は杏平の仕事に興味を抱き、仕事の内容について個人的に教えて欲しいと言ってきます。
すこしずつ距離を縮める杏平と雪子は、互いの中に“同じ痛み” を見出します。
その痛みの源泉は、二人を奇妙な糸で結びつけるのです・・・


(毎度のことながら下手くそ極まりない説明でスミマセン m(_ _)m )


もとよりお話上手なさださんの作品です。
私も若い頃、父に連れられて何度かさださんのコンサートに行ったことがありますが
歌を聴きに行ってるのか話を聞きに行ってるのかわからないくらいオモシロかった ♪
さださんの曲の特徴のひとつに
物語一編をそのまま曲にしたようなものがあります。

・・・言葉を操るのがとっても上手なんだと思います。



ということでこの作品の感想。

物語の最初のうちは、やはりちょっと鼻につく感じが無きにしも非ずかと(汗)

(登場人物、殆ど皆いい人ばっかじゃん?
ンなことあるか?)

しかし、読み進むうちに物語にのめり込んでました・・・
遺品整理屋さんとしての“現場” に関する描写はかなりリアルです。
ここに書かれた現場の数々、私もほぼ同じような現場を見てきましたし
葬儀屋さんとして現場のお掃除をしたこともあります(当時は遺品整理屋さんなんてまず無かったので)。
(おそらく)数百匹のゴキブリが床や壁を覆う現場に靴のまま入っていくときの
ゴキブリたちを踏みつぶすあの感触は、何度経験しても堪りません。
何せ私、トラウマがありますので・・・(→過去記事を参照のこと)
実在の遺品整理屋さん『キーパーズ』さんが情報提供しているんでしょうね。

さて
物語も後半にさしかかると、もうページをめくる手が止まりません。
杏平の痛みと怒りを共有してしまった読者(私)は
救いを求めるように、文字を目で追うことさえもどかしいくらいに次のページをめくろうとします。

(さださん、助けてちょうだいよ頼むから)

・・・さださんの提示する過去との決別の仕方
お見事と言うほかありません m(_ _)m
本のタイトルも
“ご本家” アントニオ猪木さんのキメ台詞も
ちゃんと深い意味を伴って提示されてるんです。

『元気ですかぁ!』

・・・さださん、カッコイイわ・・・

            ♢

・・・実は前回の記事で書いた「ごめんなさい」は
本作を読み進む途中で思ったことだったのでした(照)

私は杏平を生みだしていないか?
さすがに雪子のような被害者は作っていないけど(この意味は本作を読んで下さい)
そんなことを考えてしまったんですね・・・


本作はさださんファンもそうでない方にも
特に葬儀屋さんには、是非おススメの本だと思います。
個人的には『おくりびと』の原作である『納棺夫日記』よりずっと良かった。

・・・と思ったら、これまた映画化されるそうな。

       映画『アントキノイノチ』公式HP
by dscorp-japan | 2011-07-28 01:20 | | Comments(4)
Commented by はち at 2011-07-28 08:12 x
さださん私も好きです!!
なんたって福山さんに次ぐ←笑 長崎のスターですから(笑)
昨年かなぁ、お父さまかお母さまを亡くされて、長崎の伝統行事である精霊流しに出てらっしゃいました。
バシッと袴を着られて凛とした表情をなさって船を先導してらっしゃった姿がかっこよかったですね~
Commented by dscorp-japan at 2011-07-28 15:09
☀はちさん。
『長崎のスター』といえば、もう一人いらっしゃるでしょ?
ほら、彼ですよ彼。
『西 経一』(爆)
Commented by はち at 2011-07-29 08:09 x
爆笑です。

間違いないです。
私の中では大スターです(・´ω`・)笑
Commented by dscorp-japan at 2011-07-29 13:18
☀はちさん。
因みに西神父様もさだまさしが “大好物” (←彼の口癖)なんだそうです ♪
line

これでも葬儀屋さんのブログなのだ


by dysmas
line
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31