『骸の爪』 道尾秀介
『月と蟹』で第144回直木賞を受賞されましたね。
『背の眼』で、いきなり『第5回ホラーサスペンス大賞特別賞』受賞という・・・
やっぱり売れる作家さんというのは早くから評価されるんですね~
『背の眼』に続いて
“道尾&真備・ホラーシリーズ”の第二弾です。
とはいっても極々正統派のミステリー小説でして、小説の前半にホラーっぽいテイストがある程度。
「怖いお話は苦手」という方でも、問題なく読める作品だと思います。
また、例によって
文庫本背表紙の説明を転載させていただきました m(_ _)m
ホラー作家の道尾は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房・瑞祥房を訪ねる。
彼がその夜見たものは、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で血を流す仏像。
しかも翌日には仏師が一人消えていた。
道尾は、霊現象探求家の真備、真備の助手・凛の三人で、瑞祥房を再訪し、その謎を探る。
工房の誰もが口を閉ざす、二十年前の事件とはいったい。
本シリーズで面白いのは、霊現象研究家である真備氏のスタンスです。
事件の謎を解く(=探偵役)のが真備氏なのですが
理路整然とした推理によって事件を見つめることで
超常現象かと疑わしい出来事を、ことごとく解決するんですね。
“幽霊の正体見たり枯れ尾花”
このスタンスこそが、真備氏を探偵として成立させる所以と言えましょう。
そして
もうひとつ本作で面白かったのが、仏像に関する解説のくだりです。
作者である道尾さんご自身が、デビュー前に仏像研究をされていたという背景もあって
様々な仏像に関する知識が散りばめられています。
本書の解説文によりますと
本作で記される仏像の知識も、道尾さんは “そら” で書けたのだそうです・・・(驚)
しかし
いつも思うのですが
こういう複雑なプロットを構築して、それを流麗な文章で表現できる方ってスゴイなァ~
やっぱり頭が良いんだろうな・・・
私のような大雑把な性格の人間には
到底真似出来るものではございません・・・